3びきのかば おじいさんかばに会う

タロウ
ジロウ
ゴロウ
の3びきのかばが
いつものようにあそんでいると・・・

そこへひょいと おじいさんのかばがあらわれました。
「やあきみたち、 ちょっとたずねたいんじゃが」
とおじいさんかばが
おもむろにたずねます。

「このあたりに大きな石のとびらのある
どうくつがあるのをしらんかね?」
3びきはかおを見あわせて
しばらくかんがえます。
「しらないけど
いっしょにさがしてあげようか?」
とゴロウがいいます。
「おねがいできるかね。」

というわけで
3びきのかばとおじいさんかばは
いっしょに石のとびらのあるどうくつを
さがしにでかけました。

「ところでおじいさん、
どうしてそのどうくつをさがしているの?」
とタロウがききます。
「じつはな、わしのいえのうらにわに
こんなもんがうまっとったんじゃ。」
といっておじいさんかばは
なにやらかかれた ふるびたかみを
とりだしました。

3びきのかばはきょうみしんしんです。
「せんぞだいだいつたわる・・・・・」
とジロウがよみはじめます。
「いったいなにがかいてあるの?」
まちきれずタロウがききます。
「ふふふ・・・」
おじいさんかばは
いみありげにわらいます。
よみおえたジロウが
「ようするにわかがえりのくすり?」
とききます。

「そうじゃ。このあたりにあると
かいてあるじゃろ。」
3びきのかばは
ほんとうにそんなものあるのかな
とおもいつつ
おじいさんとどうくつさがしを
つづけることにしました。

いろいろなばしょをしっているゴロウが
せんとうにたって
あちらこちらをさがします。

ずいぶんさがしまわったあと、
となりむらとのさかいに
それらしき石のとびらをはっけんしました。
「これかな」とタロウがききます。
おじいさんかばはじーっと石のとびらを
見ています。 そしてもう一ど
ふるびたかみにかいてあることを
かくにんし、「これにちがいない。」
といいました。
「おじいさん、この石のとびら
どうやってあけるの?」
とゴロウがたずねます。
するとおじいさんかばは
ふるびたかみを見ながらいいます。

「まず、つぎにかいてあるじゅもんを
となえるのじゃ。
しかも、さいごまでまちがえてはならぬ。
わしは、ろうがんでよく見えないから
だれかよんでくれんか?」
そこで本よみのとくいなジロウが
じゅもんをとなえることになりました。
「きけためねそでらしくとみりなあう
わしまふせ・・・・・」
「うーん」みんなはうなります。
「すごい、さすがはジロウ!」
ジロウは、一どもつっかえずに
さいごまでじゅもんをとなえました。

するとどうでしょう
石のとびらが
ほんのすこしうごいたのです。
「おー」みんなはのけぞります。
「そのちょうしじゃ」おじいさんかばは
すこしこうふんしていいます。

「つぎに、なにかおもしろいことを
するのじゃ。」
「おもしろいこと?」
「そうじゃ、
石のとびらをわらわせるのじゃ。
わしはどうもじしんがないので
だれかやってくれんか?」
そういうことはやっぱりゴロウです。
ゴロウはしばらく考えて・・・
とつぜんへんなうたと
へんなおどりをはじめました。
「ぷっ」
みんなげらげらわらいます。

しばらくするとどうでしょう。
石のとびらがすこしかたかたふるえて
よこにずれました。
「おー」
みんなはふたたびのけぞりました。
「わらっているのかな?」
とゴロウはふしぎそうにいいます。

「もうすこしじゃ。」おじいさんかばは
まちきれないようすです。
「まだこれじゃ中には入れないね。」
とタロウがいいます。

「ここまでくればこっちのもんじゃ。
あとはこのおもいとびらを
手であけるのじゃ。」
とおじいさんかばがいうので
「まかしといて!」
と力もちのタロウが力まかせに
「えい!」っととびらをうごかします。
「えい!」「えい!」
かけごえとともに
とびらがすこしずつひらきます。
「えーい!」
さいごの一こえで大きくとびらが
あきました。
「やったー!」

おじいさんかばはとびこむように
うすぐらいどうくつの中へ
はいっていきます。
3びきのかばもすこしこわごわ
あとからついていきます。
おくのほうになにかがあります。

「なにがあるの」とゴロウがききます。
「つぼのようじゃ。」
おじいさんかばは
おそるおそるつぼをさわり、
そーっとふたに手をかけます。
3びきのかばも
いきをのんで見まもっています。

おじいさんかばが
ゆっくりふたをあけました。
「これにちがいない、やっとみつけたぞ!」
こうふんでこえがふるえています。

それからおじいさんかばは、
つぼの中に手をいれ中のものを
ゆびにつけぺろっとなめました。
3びきのかばは、
それがもしへんなものだったら
どうするのだろうとおもいました。
おじいさんかばは
「うん、これはけっこういける」
といって、またぺろり。

そしてこんどはつぼをもち上げ
ごくっごくっとのみました。
3びきのかばはあっけにとられています。

「どうじゃ、
すこしわかくなったとおもわんか?」
3びきのかばは くびをかしげます。
どう見てもおじいさんかばが
わかくなったようには見えません。
「もうすこし じかんがかかるんじゃない?」
とジロウがいいます。
「そうか。」
といっておじいさんかばは またごくり。

「きみたちもひとくちどうじゃ?」
3びきのかばは
ぶるぶるくびをよこにふります。
「ぼくたちはまだわかいから・・・」
「そうか。おっといけない。
ばあさんにもってかえるやくそくだった。」
そういっておじいさんかばは
つぼのふたをしめました。

「わるいが、ちょっとこのつぼを
くくりつけてくれんかね?」
とおじいさんかばがいうので
3びきのかばは手つだってあげました。

「いろいろありがとう。ではさらば。」

おじいさんかばは かえっていきました。

「なんかおじいさんふらふらしてたね。」
「それにちょっとかおが あかかったよ。」
「おじいさん、そろそろわかくなったかな?」
3びきのかばはかえりながら
はなしをしました。
たまには
こういうふしぎな日もあるものです。