きどったサイといばったキツネ

あるところにサイとキツネがいました。

なんでこいつはいつもたいどがでかいんだ。 サイはキツネのことをそうおもっていました。

こいつはいつもきどってやがる。 キツネはサイのことを そうおもっていました。

そんな2ひきのきょうつうてん。
それはちかくにすむシカのことがすきということです。

ある日、サイはおもいきって シカをたずねていきました。
「これ、きみにあげるよ。」
サイは花たばをシカにあげました。
「あら、きれい。ありがとう。」
そのようすをぐうぜん見ていたキツネはあせりました。

サイにまけるまいと いそいでシカをたずねていきました。
「えへん、これ、どうぞ。」
キツネはくだものをシカにあげました。
「くんくん、おいしそう。ありがとう。」
サイはそのようすをものかげから見ていました。

つぎの日、またサイはシカをたずねました。
そしてこう言いました。
「きのう、キツネがきたでしょ?あいつ、えらそうだったでしょ?」
サイはちょっとキツネのまねをしてみました。
「いつもあんなふうにいばってるんだよ。あまりあいてにしない方がいいよ。」
シカはだまっていました。

サイがかえるのを見とどけてこんどはキツネがやってきました。
「さっき、サイがきただろ?あいつ、きどってやがるだろ?」
そう言ってキツネはサイのまねをしました。
「ほんと、はなにつくやつだ。じぶんがかっこいいとおもってやがる。」
シカはだまっていました。

そのつぎの日、またサイがクッキーをもってシカのところにやってきました。 すると先をこされてはなるまいとキツネもあらわれました。ケーキをもっています。
「なにか用?いばったキツネくん。」
サイはなるべくおちついて言いました。
「おまえこそ、なにしてるんだ?きどったサイくん。」
「きみにかんけいないだろう?」
「それがあるんだよ。」
2ひきはとうとうけんかをはじめました。

「やめなさい!」
とつぜんシカがさけびました。 サイとキツネはびっくりしてシカを見ました。
「わたしがいちばんきらいなのは ひとのわる口を言うこと、すぐけんかをすること。わかった!」
そう言うとシカは行ってしまいました。
2ひきはおもわぬできごとに あぜんとしてしまいました。

サイとキツネ、ふたつ目のきょうつう点。
おたがいのわる口を言ったためきらわれてしまったこと。
このときはじめてきどったサイといばったキツネはおたがいのきもちがわかりました。
きらわれて、がっかりのきもちが。

その日からきどったサイといばったキツネはとりあえず、おたがいのわる口を言わなくなりました。
わる口を言ってもあまりいいことはおこならい。
2ひきはそうおもったのです。

それから何日かたちました。
キツネはいえのちかくでばったりシカに出会いました。 ちょっとゆうきがいったけれどキツネはシカに言いました。
「もう、サイくんのわるぐちは言わないことにしたよ。」
「ほんと?よかった。」
シカはうれしそうに言いました。

それからまた何日かしてサイがさんぽをしているとちょうどシカがあるいてきました。 サイはちょっとてれくさそうに言いました。
「あれから、キツネくんのわる口は言ってないよ。」
「そう、あなたもなの?よかった。」
シカはまたうれしそうに言いました。

まもなくキツネとサイのところに
こんなてがみがとどきました。

「こんどのにちよう日
キツネくんとサイくんとわたしとで
いっしょにピクニックにいきませんか?
シカより」

キツネとサイはよろこびました。
3びきいっしょだけどまあいいや。もうシカさんはぼくたちのこときらってないんだ。

3つめのきょうつうてん。
シカからピクニックにさそわれたこと。

にちよう日、キツネとサイとシカは、はくちょう池のあるこうえんにでかけました。

こうえんで、キツネとサイとシカは、バドミントンをしたり、みずあそびをしたり。
シカのつくってくれたおべんとうは、とてもたくさんで、みんなおなかいっぱいになりました。

きどったサイといばったキツネは、今までいろいろあったけど、たのしくすごせたのでした。