パグのおばあさん

その1

そのおばあさんはいつもパグをつれて散歩している。
飼い犬に似ている人はよくいるが
おばあさんもそのパグとよく似ている。
おばあさんがパグを飼い始めたころ
近所の子どもたちは散歩に行くおばあさんたちをめずらしそうにながめた。
「ほんま、そっくりやな。」
おばあさんの家は古い木造で小さな庭がある。
おばあさんはよく庭に面した縁側にこしかけ
庭の植物をながめながらゆっくりお茶をのんだり
いねむりをしたりしている。
通りを行く人が、生け垣の間からそんな様子をときどき見かけるのである。

その2