日曜日、朝ごはんを食べながら、タカトのお母さんが言った。 「ねえ、キクちゃんになんかあげへんの?記念になるもんかなんか」 「えっ、記念になるもん?」 タカトは、ふいに思いもよらなかったことを言われ、考えはじめた。 「なんか作ってあげたら?」 「えっ、作る?」 ますます、何をあげればいいか、思いつかない。 しばらくして、 「切り絵は?」 と、お父さんが言った。 「切り絵?」 タカトは声がうらがえった。 「ほら、よう作ってやったやろ、おまえに」 タカトは、お父さんが作った額に飾ってある機関車の切り絵を思いうかべた。 「えー、あんなん作れへん」 「かんたんなやつにしたらええねん」 「えー……」 「まあ、まだちょっと時間あるし、考えたら?」 おかあさんが提案した。 「うん、考えるわ」 そう言ったけど、タカトはいい考えがうかぶ気がしなかった。 |